「工数管理ツールを比較しようとしたら、種類が多すぎてどれを基準に選べばいいのかわからない」——ツール選定でつまずくのは、たいてい機能比較の前の段階です。実は工数管理ツールにはいくつかの「タイプ」があり、自社の目的に合わないタイプを選ぶと、機能がどれだけ豊富でも使われないツールになりやすいのです。
この記事では、工数管理ツールを5つのタイプに分類し、それぞれの特徴・代表的なツール・向いている企業を整理します。そのうえで、選定時に確認すべき6つのポイントと、導入で失敗しないための進め方を解説します。
なお、各ツールの情報は2026年7月時点の各社公式サイト・料金ページ・ヘルプ情報の調査にもとづきます。料金・機能は変更される場合があるため、最新の情報は必ず各公式サイトでご確認ください。
工数管理ツールの5つのタイプ
工数管理ツールと呼ばれるものは、成り立ちによって大きく5つに分かれます。まず自社がどのタイプを必要としているかを見極めることが、比較の出発点です。
なお、本記事では各製品の主な導入目的と中核機能を基準に、便宜上5タイプに分類しています。実際の製品は複数タイプの機能を兼ね備えている場合が多く、契約プランによって利用できる機能も異なります。タイプはあくまで「どこを中核に設計されたツールか」の目安として捉えてください。

1. 時間記録(タイムトラッキング)特化型
ストップウォッチやブラウザ拡張など、時間を素早く記録することを中核とするタイプです。導入のハードルが低く、動作が軽いのが持ち味です。本格的なプロジェクト計画(ガントチャートや依存関係の管理)は限定的な製品が多い一方、製品や契約プランによっては、基本的なタスク管理や、人件費・粗利・収益性の分析まで対応しています。代表例はTimeCrowdやToggl Trackです。
2. 工数管理・原価管理特化型
工数の集計・分析やプロジェクトの損益管理を主目的とするタイプで、承認ワークフローや細かな権限管理など、管理部門の要件に強いのが特徴です。入力はカレンダー連携や日報形式が中心で、タスク・担当者・進捗の管理機能を備える製品もあります。中規模以上の組織を想定した設計が多く見られます。代表例はクラウドログです。
3. 勤怠管理一体型
勤怠管理システムの1機能として工数管理を提供するタイプです。出退勤と工数を同じ基盤で管理でき、勤怠側をすでに導入していれば追加コストが小さいのが利点です。工数機能は勤怠の延長として設計されているため、実行タスクの進捗管理や案件別の採算分析を求めると物足りなさが出てきます。代表例はジョブカン工数管理です。
4. プロジェクト管理ツール付随型
多機能なプロジェクト管理(PM)ツールが、上位プランの標準機能または有料アドオンとしてタイムトラッキングを提供するタイプです。タスクの依存関係や自動化などPM機能は厚い一方、時間記録の利用には上位プランの契約やアドオンの追加が必要な場合があります。代表例はAsanaです。
5. タスク管理一体型
タスク管理と工数記録がひとつの画面に統合されたタイプです。タスク画面からそのまま時間記録を開始できるため、タスク名や案件名を別のツールに入力し直す必要がなく、記録した時間はそのまま案件別の集計・人件費計算につながります。時間記録特化型の「記録のしやすさ」と、工数管理特化型の「分析の深さ」の交差点に位置します。タイムデザイナーはこのタイプです。
選び方:確認すべき6つのポイント
タイプの見当がついたら、候補ツールを次の6つの観点で確かめます。
1. 記録の手間が小さいか【最重要】
工数管理ツールの価値は、現場が毎日記録してくれて初めて生まれます。記録に手間がかかると、機能が豊富でも運用が定着しにくくなります。ワンクリックで記録が始められるか、入力が選択式で迷わないかを最優先で確認しましょう。
2. 記録スタイルを選べるか
作業のたびにその場で記録するリアルタイム方式は正確ですが、すべての人に向くわけではありません。集中を切りたくない人や会議の多い人には、1日の終わりにカレンダーでまとめて登録する「あとから方式」が現実的です。Google・Outlookカレンダーの予定から取り込めるかも含め、両方の記録スタイルに対応しているかは、利用者ごとの働き方に合わせるうえで重要です。
3. タスク管理と一体化・連携しているか
タスク管理ツールと工数管理ツールが別々で連携もない場合、同じ作業を2つのツールに入力することになります。二重入力は現場の代表的な負担要因で、どちらかの入力が省略され、データが不完全になるおそれがあります。工数管理を軸にするなら、タスク管理と一体になったツールか、既存のタスク管理ツールと連携できるものを選ぶと、二重入力を減らしやすくなります。
4. 人件費・採算の分析まで届くか
時間の記録はスタート地点にすぎません。メンバーごとの時間単価を掛けて案件別・取引先別の人件費や採算まで自動で出せるか、レポートをExcel/CSVで出力できるかを確認します。ここが弱いと、結局Excelでの二次集計が復活します。なお、人件費・収益性の分析機能は上位プラン限定の製品も多いため、対象プランまで確認しましょう。工数データを採算に活かす考え方は案件ごとの採算の見える化で解説しています。
5. 現場が使いこなせるか
UIやマニュアル・サポートが日本語で完結するか、ITに不慣れなメンバーでも直感的に使えるかは、教育コストに直結します。海外製ツールは機能や連携が豊富な反面、日本語対応が限定的な場合があるため、利用メンバーの顔ぶれを踏まえて判断しましょう。
6. 料金体系が自社の規模に合うか
1ユーザーあたりの単価だけでなく、初期費用の有無・最低利用人数・最低契約期間・無料トライアルの有無を確認します。少人数で試して段階的に広げたい場合、最低利用人数や年間契約の縛りが強いツールはハードルになります。
主要工数管理ツールの比較表
ここまでのタイプ分類と選定ポイントを踏まえ、主要なツールを比較します。
本記事は、工数管理ツール「タイムデザイナー」の運営元が作成しています。比較にあたっては、2026年7月20日時点の各社公式サイト・料金ページ・ヘルプ情報を確認し、共通の項目で整理しています。料金や提供機能はプランによって異なり、変更される場合があるため、契約前に各社の最新情報をご確認ください。
| ツール(主タイプ) | 記録スタイル | タスク・進捗管理 | 原価・採算関連 | 料金の目安 |
|---|---|---|---|---|
| タイムデザイナー(タスク管理一体型) | タイマー・あとから入力・Google/Outlookカレンダー連携 | TODO・カンバン・ガントチャート | 時間単価による人件費集計・売上登録で粗利/粗利率算出・案件/取引先別集計・Excel/CSV出力(有料プラン) | Basic(個人)無料。チーム向けBusinessは月額980円/ユーザー(税別)。1ヶ月無料トライアル |
| TimeCrowd(時間記録特化型) | タイマー・あとから入力・Google/Outlookカレンダー連携 | タスク作成・完了・検索・カテゴリ管理 | 人件費・原価・粗利・顧客/サービス別の収益性 | 要問い合わせ |
| クラウドログ(工数管理特化型) | カレンダー入力・あとから中心 | タスク・担当者・進捗・遅延・予定/実績工数・ガントチャート | プロジェクト損益管理 | 月額600円/ユーザー〜+基本料金。7日間トライアル。最低利用期間12ヶ月 |
| ジョブカン工数管理(勤怠一体型) | 日次のあとから入力(時間または勤務時間比で登録) | プロジェクト・タスク分類(実行タスクの進捗管理ではない) | 工数集計・グラフ・PDF/CSV出力 | 2機能利用で月額300円/ユーザー〜。最低月額2,000円。工数管理単独では契約不可 |
| Toggl Track(時間記録特化型) | タイマー・手動入力・カレンダー・タイムシート・自動追跡 | Starter以上でProject Tasks | Starter以上で人件費、Premiumで収益性分析 | 無料プランあり。Starterは年払いで月額$9/ユーザー〜 |
| Asana(PM付随型) | タスク内タイマー・手動入力 | 依存関係・自動化・ポートフォリオなど | 時間レポート。有料アドオンでユーザー単価・コスト・予算管理 | Starterは年払いで月額1,200円/ユーザー。Advancedは2,700円。アドオンは935円 |
各ツールの特徴と向いている企業
タイムデザイナー:タスク管理と工数管理を一体で始めたい企業に
タスクを選んで開始ボタンを押すだけで作業時間の記録が始まる、タスク管理一体型のツールです。TODOリスト・カンバン・ガントチャートでタスクを管理しながら、タスク画面からそのまま記録を開始できるため、タスク名や案件名を別のツールに入力し直す必要がありません。記録はタスクごとのストップウォッチのほか、カレンダー画面でのあとからのドラッグ登録や、Google・Outlookカレンダーの予定からの取り込みにも対応しています。時間単価を登録すればメンバー・案件・取引先別の人件費が自動集計され、案件に売上金額を登録すれば粗利・粗利率まで自動算出されます(人件費・売上管理は有料プラン)。Excel/CSV出力に対応し、国産ツールでUI・サポートとも日本語です。料金は個人向けの無料プラン(Basic)と個人向け有償プラン(Pro)、チーム向けのBusiness(1ユーザー月額980円・税別、年払い割引あり)で、有料プランには1ヶ月の無料トライアルがあります。二重入力をなくして記録を定着させたい企業、工数から採算まで一気通貫で見たい企業に向いています。
TimeCrowd:時間記録を軸に、軽く始めて採算まで見たいチームに
「誰が・どの業務に・何時間かけたのか」の可視化を中核とする国産の時間記録ツールです。タイマーによるリアルタイム記録に加え、あとからの入力・修正やGoogle・Outlookカレンダーとの連携にも対応しています。タスクの作成・完了・検索やカテゴリ管理といった基本的なタスク管理機能を備え、チーム・ユーザー単位の時間単価を設定すれば、人件費・原価・粗利や顧客・サービス単位の収益性分析まで行えます。一方、ガントチャートやタスクの依存関係など、本格的なプロジェクト計画機能を重視する場合は、外部のタスク管理ツールとの併用も選択肢になります。料金は要問い合わせです。
クラウドログ:承認フローや統制を重視する中〜大規模組織に
クラウドワークス社が提供する工数管理特化型ツールです。カレンダー連携での工数入力に加え、タスクの一元管理・担当者の設定・進捗状況の確認・遅延タスクの抽出・予定工数と実績工数の比較・ガントチャートと、タスクと進捗の管理機能も備えています。プロジェクトの損益管理に対応し、上位プランでは工数の承認ワークフローやSAML認証・IP制限など統制系の機能が揃います。料金はベーシックが1ユーザー月額600円〜+基本料金、プレミアムが1,500円〜+基本料金(詳細は問い合わせ)で、7日間の無料トライアルがあり、最低利用期間は12ヶ月です。工数の承認プロセスが必要な組織や、管理部門主導で導入する中〜大規模企業に向いています。
ジョブカン工数管理:ジョブカンシリーズで勤怠管理をしている企業に
勤怠管理サービス「ジョブカン」の機能のひとつとして提供される工数管理です。工数管理は単独では契約できず、出勤管理またはシフト管理との組み合わせが必要です(2機能利用で1ユーザー月額300円〜・月額最低2,000円)。勤怠と同じ基盤で、プロジェクト・タスク分類ごとの工数を日次で登録し、集計・グラフ・PDF/CSV出力ができます。すでにジョブカンで勤怠管理をしている企業なら、1機能あたり月額100円/ユーザーの追加で工数の記録を足せるため、低コストで始めたい場合に有力な選択肢です。なお、勤怠管理と工数管理は目的が異なる管理です。詳しくは工数管理と勤怠管理の違いをご覧ください。
Toggl Track:海外製に抵抗のない個人・小規模チームに
世界的に使われている時間記録ツールです。タイマーによるリアルタイム記録に加え、手動入力・カレンダー表示・タイムシート・デスクトップ操作履歴などを使った自動追跡に対応しています。無料プランがあり(利用可能人数などの最新条件は公式料金ページを要確認)、Starter以上ではプロジェクト内のタスク(Project Tasks)や見積時間を管理でき、人件費の設定にも対応。Premiumではプロジェクトの利益・収益性の分析まで行えます。モバイルアプリには日本語対応がありますが、Webアプリは英語ベースのため、利用メンバーが抵抗なく使えるかをトライアルで確認する必要があります。個人事業主や、海外製SaaSに慣れた小規模チームに向いています。
Asana:プロジェクト管理を主軸に、時間も記録したい企業に
タスクの依存関係・自動化・ポートフォリオ管理・豊富な連携を備えた多機能プロジェクト管理ツールです。ネイティブのタイムトラッキング(タスク内タイマー・実績時間の記録・見積もりとの比較)は標準ではAdvanced以上(年払いで1ユーザー月額2,700円)で利用でき、Starter(同1,200円)以上では有料アドオン「タイムシートと予算」(同935円)でタイムシートやユーザー単価・プロジェクト予算・コストの管理を追加できます。プロジェクト管理の高度化が主目的で、工数はその一要素として押さえたい企業に向いています。
目的別のおすすめ
- Excelでの工数管理から卒業したい → タスク管理一体型(タイムデザイナー)が有力候補。記録と集計の両方が自動化され、Excel工数管理の限界をまとめて解消しやすくなります
- 案件別の採算・人件費を見たい → タイプ名だけで判断せず、メンバー単価の登録・売上や請求額の管理・案件別の労務原価・粗利/利益率の算出に対応しているかを確認します。これらの機能が上位プラン限定の場合もあるため、対象プランまで比較しましょう
- まず時間の見える化だけ試したい → 無料プランや低価格プランのある時間記録型が候補になります。ただし、将来的に人件費や案件採算まで分析したい場合は、上位プランで必要な機能を利用できるか、データを移行・出力できるかも確認しましょう
- 勤怠管理とまとめて済ませたい → 勤怠一体型。工数機能が単独契約できない場合があるほか、案件採算が目的なら工数側の機能が足りるかを要確認です
- プロジェクト管理の高度化が主目的 → PM付随型。時間記録が利用できるプランか、アドオンの追加が必要かを確認しましょう
導入で失敗しないために:トライアルで「記録が続くか」を見る
最後に、どのツールを選ぶ場合にも共通する進め方のポイントです。
- 無料トライアルで実案件を回す — デモ画面の印象ではなく、実際の案件・タスクで1〜2週間記録してみて、記録が苦にならないかを現場に確かめてもらいます
- 少人数で始めて段階的に広げる — 最初から全社導入を狙わず、1チームで運用の型を作ってから展開します。実際に、30名でトライアルした後に全社導入へ移行した企業(取材時点の従業員数113名。ゴンドラ様の導入事例)や、約10名・1ヶ月のトライアルを経て常駐チーム25名で本稼働した企業(トライアンフ様の導入事例)など、いずれの事例でも少人数のトライアルを経て利用範囲を広げています
- 「何を見たいか」を先に決める — 案件別の採算なのか、負荷の平準化なのか、見積もり精度なのか。目的が決まっていれば、必要な機能もツールのタイプも自然に絞れます。工数管理の目的と進め方の全体像は工数管理とは?目的・メリットと進め方で整理しています
まとめ
工数管理ツールは、時間記録特化型・工数管理特化型・勤怠一体型・PM付随型・タスク管理一体型の5タイプに大別できますが、実際の製品は複数タイプの機能を兼ね備えており、プランによって使える機能も変わります。比較表で機能を見比べる前に、まず「自社は何のために工数を管理したいのか」を決め、中核機能が目的に合うツールを見極めることが選定の近道です。
そのうえで、記録の手間・記録スタイルの選択肢・タスク管理との一体性/連携・採算分析への到達度と対象プラン・現場の使いやすさ・料金体系の6点を確認し、最終的にはトライアルで操作感と自社の運用への適合を確かめれば、導入後に「使われないツール」になるリスクは大きく減らせます。
工数管理をもっと楽に、もっと正確に。
タスク管理と工数管理が統合されたタイムデザイナーなら、タスク画面からそのまま時間記録を開始でき、タスク名や案件名を入力し直す手間がありません。記録も集計もワンクリックで、案件別・取引先別の人件費や粗利まで自動でグラフ化。ツール選びで迷ったら、まず1ヶ月の無料トライアルで「記録が続くか」をお確かめください。
